国際協力、イギリス留学、日本での人材業を経て海外で人事部へ就職(山根優希さん)

お話を聞いた人:私立カレッジ管理部チームリーダー 山根優希さん
日本での経験を評価され、カナダの私立カレッジでの人事アシスタントとして、留学の学生期間にアルバイト採用。その後、管理部へ転属し正社員に。仕事ぶりを評価され、現在は、管理部チームリーダーとしてチームを引っ張る役割を担当。

海外に出たきっかけは?

それまでとは違う新しい経験をしたくて、外国語大学に進学した事がきっかけです。大学では1年生から途上国の貧困地域や難民を支援する国際協力活動を行うサークルに参加しました。

ゼロから作っていった新しいサークルだったんですが、学生をタイやカンボジアなどに連れて行く部門を担当していました。資金調達から企画、現地での交渉、現地でのガイドなどを行いました。日本人はふっかけられやすいので(笑)、現地の人と英語で交渉するのは大変でした。

3年生になる頃には、そのサークルも正式に国際協力のNPO団体になったんですよ。

イギリスへ留学も?

はい。3年生になって、大学の交換留学生としてイギリスのロンドン大学に、学部留学させてもらったんです。その大学の寮に住んで、1年間、現地の学生達と一緒に国際関係学や途上国での開発学などを勉強しました。

寮生活では、イギリス人だけでなく、難民としてイギリスに来て勉強している人もいて、日本にいたら出会えない人達との交流もあったり、国連のグテーレス事務総長にお会いする事もできたりして、すごくいい経験になりました。

帰国後は就活を?

いいえ、1年間休学して、いろんな企業でインターンをしました。

新卒採用制度がある日本は、学生期間からいきなり就職活動ですが、それにちょっと違和感があったんです。そもそも社会を何も知らないままで、いきなり1つの会社に決めるって、どうなのかなって思って。

そこで、1年間休学して、片っ端からインターンに応募して4つの企業で働く事にしました。2社は人材系の企業で、1社はインターネットメディア制作会社、もう1社ではクレジットカード営業の会社です。

同時進行でそれらの企業でインターンとして1年間、仕事をさせていただきました。

その後に就職を?

はい、インターンの仕事の中でも人材の仕事に一番興味が出て、人材コンサルティングの企業に就職しました。

実はイギリス留学中に、日本語がペラペラな学生達と出会う機会があったんですが、日本語が上手い彼らが皆、日本では働きたくないって言っていたんです。日本では、残業代はなしで、残業が多く、職場での性差別が多いというのが理由でした。それが、当時から気になっていて。日本の労働環境って、そこまで言われるレベルなんだろうかって。

そこで、数多くの企業の職場を知ることができる仕事をやってみたくて就職し、そこで法人営業を担当しました。

カナダに来たきっかけは?

人材コンサルティング企業で2年働いて、目標にしていた300万円が貯まったからです(笑)

もともと、海外にまた出たいという思いがあって、入社時から上司にも、2年後には海外へ行く事を伝えて、すでに決めてはいたんです。

イギリスに戻る事も考えましたが、ちょうどワーホリの枠がなかったので、カナダへ来る事にしました。

勉強して働けるCoop留学※か、ワーホリかのどちらかで検討して、せっかくなら働きながら新しいスキルを学べるCoopにしようと、学生として渡航することにしました。

※Coop留学
専門分野の勉強をし、学んだ知識を活かしてその後インターンとして現地で働く事ができる学生ビザと就労ビザがセットになったカナダ独自の留学向けビザ制度。

仕事を見つけた方法は?

Coopで通っていたカレッジで、データ入力のアルバイトを募集していたんです。それに手を挙げたのが、たまたま自分だけだったんですよ(笑)他の人は、データ入力の仕事はつまらないと思ったのかも。

でも、それがきっかけで、僕が日本で人材の仕事をしていた事を知っていただき、結局は、人事アシスタントとして雇っていただきました。

なので、カレッジで通学中から、アルバイトとして、人事での仕事をすることになりました。

仕事仲間もさまざまな国の出身で、多様な職場環境。

今の部署になったのは?

それも実はたまたまで、前任のマネージャーの仕事がずさんで、クビになっちゃったんです(笑)

それで人員不足になり、自分が管理部の仕事に移ることになりました。いわゆる経理や総務仕事が主で、学生ビザ発行に必要な書類手続きをしたり、請求書を発行したりする部門です。間違いがあってはいけない仕事が多いので、けっこう神経を使いますね。

カレッジでの座学期間も終わって、Coopでの就労ビザに変わったので、アルバイトから正社員になり、その後、管理部のチームをまとめるリーダー職に昇格しました。

仕事で日本との違いを感じる事は?

今の仕事では、留学生がやって来る各国のエージェントさんとのやり取りがあります。

僕の場合、中国、韓国、東南アジア、中東などアジア全般を担当しているんですが、日本と比べると、みんな仕事が適当だなぁと感じますね(笑)必要な書類が全然揃ってないなどはしょっちゅうだし、日本では社会人の基本といわれる「報・連・相」なども全然なしです(笑)

だからこそ、自分の方が前もって細かく伝えるように気をつけています。

たぶん日本で一定の社会人経験をもっていれば、日本人の仕事ぶりは、海外でのオフィスワークでは、高く評価されるんじゃないかなと感じたりしますね。

今後の目標は?

はっきりした長期的目標というのはないですが、今はカナダで仕事を得て、せっかくの機会なので、まずは永住権の取得を考えています。でもさらに先では、いつか途上国でも働く経験をしたいなとも思っています。いままで先進国でしか働いた経験がないので。

というのが、先進国と途上国の両方で、起業家の人達の話を聞いてきたんですが、考え方が全然違ったりしたので、それが興味深かったんですよ。

しかも途上国は人口も増えていて、どんどん新しい文化が生まれていく環境にあるので、そんな中で働くのは、すごく面白いだろうと思っています。

これから海外へ出たい人へ。

一度でもいいから、みんな海外に出て欲しいと本当に思います。凝り固まっている自分の考えが変わる経験ができますからね。

海外に出たら、英語が思った以上に話せなかったり、友達がなかなか出来なかったり、上手くいかない事があって、落ち込むことがきっとあると思います。そんな時は、海外に出たというだけでもすごいんだと、自分に自信を持って欲しいです。

そして片っ端から何でも参加してみてください。

仕事探しでは、誰にでも「仕事を探してる」って言ってみてください。

その辺にある何気ない小さな出会いでも、それを積み重ねていくことで、チャンスにつながっていきますよ。

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