カナダとイタリアへ移住。留学業を経てカナダ移民の支援のプロへ【海外の仕事・就職】

お話を聞いた人:
カナダ移民コンサルタント 村山真理枝さん

10年以上カナダの留学会社や教育企業で管理職として勤務。その後、カナダの移民コンサルタント国家資格を取得し独立。カナダ永住権取得を目指す日本人向けにコンサルティングを行っている。

日本ではどんな事をしていましたか?

北海道の短大卒業後に、東京の一部上場企業で事務秘書職として働いていました。

当時の日本の短大では正直、何も学べませんでしたが(笑)、社会人になってからたくさんの事を学ばせていただきました。日本では新卒の社員は会社から社会人教育をしてもらえますからね。

いま思えば、先輩がいないと何も出来ない人間が、お給料をもらいながら色々と教えてもらえるなんて、日本だからこその恵まれた事ですよね。海外ではそんな甘えた社会人スタートなんて切らせてもらえませんから(笑)

日本で働いた後に海外へ?

はい、そこで4年くらい働いて、仕事に自信がついた時点で次のステップを考えるようになりました。それが海外へ行く事だったんです。

今の日本はだいぶ進んでいると思いますが、私が働いていた頃の日本企業は、女性が事務職で出世できる道はありません。また日本での結婚が女性に不利に出来ていることにどうも納得できなかったのもあって、その時の私にとっては日本に残る選択肢はなかったんです。

もともと、納得できない事をやるのが苦手で、子供の頃から「なぜ?」って聞いてばかりでまわりの大人達を困らせていましたから(笑)

カナダに来て何を?

最初は、オタワのカールトン大学の付属英語コースに入りました。オタワはカナダの首都で極寒ですが、北海道に慣れていた私には特に問題もなく楽しい生活でした。

その後、カレッジ(短大)へ進学するためバンクーバーへ移りました。

日本の短大で学んだ事はさっぱり覚えていないですが、カナダのカレッジではよく勉強し、たくさん学びました。それが仕事や私生活にも生きていると思います。カナダに来て、教育が人生にとっていかに大事かを経験し、それがその後、留学・教育業界の仕事へのパッションにもなりました。

その後イタリアにも?

バンクーバーのカレッジを卒業後に、違う国を体験したいとイタリアに移住しました。レストランで働いたり、料理教室をしたり、4年半ほど住んだんですが、イタリアという国が全然あわなくて(笑)

日本とイタリアという国は、価値観が180度真逆だなと思います。もちろんイタリア人の価値観から学べる点はたくさんありますし、日本人でもイタリアが心地いい人もいると思いますが。

一方、カナダはちょうどその中間のような国。多民族国家のこの国には、それぞれが自分たちの生き方を尊重しあっていて、それが私には合っていたんですよね。

村山さんが最初に降り立ったオタワの地は、カナダの首都として歴史深く、大学や教育も充実。フランス語圏のケベック州にも隣接し、多言語が飛び交う土地。

カナダに戻ってきてからは?

ビザの事もあって、カナダに戻るきっかけに、以前から望んでいた大学編入する事にしました。そこからまた大学で一生懸命勉強をして、アワードをいただいたりもしました。

その後、ポスグラと呼ばれる就労ビザが取得できたので、就職活動をしました。毎日、5〜6時間かけて、10件以上の履歴書を送り続け、カナダ国内でも韓国系の最大の留学エージェントに採用していただきました。ちょうど、その会社が、韓国以外の地域のマーケティングができる人材を探していたんです。

そこから留学業界へ?

はい。入社して3ヶ月後には成果を出し、カナダ移民のスポンサーになってもらうことも了承していただき、半年後にはマネージャーに昇進して、本格的なヨーロッパ、南米、中東などへのマーケティングを開始しました。

カナダで安定した場所を築き、留学業界で認めてもらえる存在になれたのも、この会社のおかげだと心から感謝しています。
最初の面接で「できますか?」と聞かれて、根拠もないのに「はい! 出来ます」と自信満々で答えたので、本当によく働きました(笑)残業や休日出勤もしましたよ。

カナダでも残業や休日出勤を?

たしかに「サービス残業」という言葉にすると、日本と同じに見えますが、カナダでは全然違いますね。北米の場合は、会社が成長することが働く人に返って来る仕組み作りをするのが通常です。そのことを考えれば、結果的には頑張って働いて成果を出す事は、実りも多いことでしたし、私にとっては学ぶ事もたくさんできるよい時期だったと思います。

「残業」と聞くとマイナスなイメージが多いと思いますが、若い頃はまだ独身で自由な身ですし、このときに学べるだけ学ぶという心がけがあれば、成果を出すための残業はとても楽しいですよ。

その後、転職を経て移民コンサルタントに?

はい。スカウトをいただいた教育団体で1年間マーケティング・セールスの管理職として働き、その後カナダにある日本の大手留学エージェントで管理職として採用いただいたきました。

留学後にカナダに移民を希望する人はこの数年かなり増えています。そこで、そういった方たちに的確なアドバイスやカウンセリングができるようにしようと、働きながら移民コンサルタントの国家資格を取得したんです。

その留学エージェントで移民コンサルティングの経験を積んだ後に、独立して、現在、移民コンサルティング業をしています。

今後の目標は?

実は昨年、ずっと考えていた動物愛護のNPOを立ち上げたんです。

若いころは買ってでも苦労しろ!のモットー通り、いろんな挑戦をしてきて、今は殆どの事は苦労とは感じなくなりましたし、色々な土地を転々としていた若い自分も、無事に落ち着いて家が大好きな人になりました(笑)

今後は自分のことに時間を使うのではなく、カナダや日本を含めた世界や社会のために時間を使っていけたら幸せだなと思います。動物一匹、人間一人にでも、何かの役に立てるような自分になるのが目標ですね。

海外へ行きたい方へアドバイスを。

日本の人はどうしても受け身の方が多いです。「いつかできればいいな」なんてただ待っていると、どんどん時間だけが過ぎてしまいますので、自分から「絶対にやる!」という決意を持つことが大事です。また英語力は必須ですのでしっかり勉強しましょう。

そして一番大切なのは、試していないうちから「自分には向かない」と決めてしまわないことですね。目標のためにやらねばならぬ事にむかって必死に取り組めば、その経験は必ず将来役に立ちますし、考えもしなかった新しい道が開くこともありますよ。

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