以前の記事(日本人が海外で働くには?5つの方法を紹介!)では、海外就職を目指す人に向けて、海外で働く方法を5つ紹介しました。
今回はその中でも「海外に関連する営利を目的としない組織で働く」方法を解説します。
海外に関連する営利を目的としない組織とは、例えば国際連合(以下、国連)、国際NGOなどが挙げられます。
国際社会に大きく貢献できるこれらの仕事に憧れを持つ人は多いですが、同時にこんな疑問・悩みを持つ人もいるようです。
- そもそもどんな組織があるのか
- 応募方法がよくわからない
- ボランティア(例:青年海外協力隊)では生活ができないのでは?
そこで今回は、海外に関連する営利を目的としない組織にはどんな種類があって、どういった手順を踏めば働けるのかを解説します。
働く際にあるとよいスキルや働く際の注意点も紹介するので、興味がある人はぜひ最後までご覧ください。
海外に関連する営利を目的としない組織とは
この記事で取り上げる「海外に関連する営利を目的としない組織」は、国連やNGOなど、利益を得ることを主たる目的としていない組織を指します。(全く利益を上げない訳ではない)
利益を得ることが主目的ではない、と聞くと「給料が安いのでは(または、ボランティアならば無償なのでは)・・・?」と心配する人がいますが、生活に必要な給料は支払われますし無償ではありません。
以下は、主な組織の例です。
国連
国連は、1945年に設立された、国際平和および安全の維持と社会の発展を目的とし運営されている国際機関。正式名称は国際連合。
2023年1月現在の加盟国数は193ヶ国にのぼります。
国際NGO
まず、NGOとはNon-governmental Organizationの略称で、「非政府組織」と訳されます。Wikipediaでは、次のように定義されています。
民間人や民間団体のつくる機構・組織であり、国内・国際の両方がある。日本語では、NGO(エヌジーオー)という言葉が、国際的なものとして使われており、「国際協力に携わる組織」や「政府を補完する側面」というような場合に使用される。
引用:非政府組織
その中でも、国際協力を行う民間団体のことを国際NGOと呼びます。例として、以下の組織を紹介します。
赤十字社
赤十字社は、日本国内で発生した災害の救護活動や地域医療への貢献のほか、世界各地での戦争・紛争犠牲者の救援、災害被災者の救援、医療・保険・社会福祉事業など、国際的にも支援を行っている組織です。
海外での支援活動を行う職員は「国際要員」と呼ばれ、医師や看護師のほか、人事や物流担当など様々なポジションがあります。
在外公館
在外公館とは、他国と外交を行ったり、海外に住む日本国民の保護などを目的として海外に設置されている日本の施設です。
具体的には大使館、総領事館、政府代表部などがあります。
こういった施設で、庶務などを行うために原則2年間派遣されている職員を、「在外公館派遣員」と呼びます。
JICA海外協力隊
JICA海外協力隊は、開発途上国の様々な問題解決に貢献できる人材を、海外現地へ派遣している組織です。
JICAのボランティア制度で派遣されている満20歳から満45歳までの若者は、青年海外協力隊という名称で知られています。(このほか、シニア海外ボランティアなどもある)
学歴が問われず、高卒などでも挑戦できるというメリットがあります。
ボランティアですが無給ではなく、現地生活費が支給されるので、「活動に興味があるけれどお金が心配」といった人でも安心して挑戦ができますね。
海外の非営利団体組織で働く方法
次に、各組織で働く方法を紹介します。
国連
国連職員への応募方法は複数あります。
いずれかの方法で応募し、試験に合格しなければなりません。
- 専用サイト(UN Careers)の空席公募(募集されているポスト)から応募
- JPOに応募(35歳以下の若者を対象に、外務省が2年間人件費を負担して国連機関に派遣する制度。日本の国連職員の4割はJPO経験者)
- YPPに応募(国連事務局で国際公務員としてのキャリアをスタートしたい32歳以下の若者を対象とする制度。毎年、国連職員がいないか、相対的に少ない国々に対して募集がかかる)
いずれにしても、業務に関連する分野での修士(YPPは学士)以上の学位、高い語学力(英語またはフランス語)が求められます。
国際NGO
ここでは、赤十字社(国際要員)への応募方法を紹介します。
赤十字社
日本赤十字社のウェブサイトによれば、以下のステップで国際要員になることができます。
- 登録研修に参加
- 研修修了後、日本赤十字社の「国際救援・開発協力要員(国際要員)」 として登録される
- 派遣前研修を受け、現地に派遣される
国際要員になるためには、必ずしも日本赤十字社の職員になる必要はありませんが、職員に限定されたポジションもあります。
実際にどのような仕事の募集があるかは、「国際要員ウェブサイト」を確認してください。
在外公館
在外公館派遣員になるためには、以下のステップを踏む必要があります。
- 国際交流サービス協会のウェブサイトで職員の募集情報をチェック(年2回)
- 一次試験を受ける(筆記)
- 二次試験を受ける(会話、人物面接)
- 合格した場合、赴任前オリエンテーションを受講(都内、5日間)
【参考】外務省在外公館派遣員制度
JICA海外協力隊
海外協力隊にボランティアとして参加するためには、以下のステップを踏む必要があります。
- JICA海外協力隊ウェブサイトで、春募集または秋募集の案件がないかチェック(年2回)
- 応募者用マイページ(専用ウェブサイト)から応募する
【参考】募集要項・応募方法
海外に関連する営利を目的としない組織で働く際にあるとよいスキル
海外に関連する営利を目的としない組織では、どのようなスキルが求められるのでしょうか?
学位
応募する組織や案件によっては、学位を求められることがあります。
例えば、先に紹介した国連職員は、業務に関連する分野での修士(YPPの場合は学士)以上の学位が求められます。
語学力
英語をはじめとした、実務で使えるレベルの語学力が必要です。
例えば国連では、英語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語、アラビア語の6か国語が公用語となっています。
その他の組織でも、現地語を話す能力が求められる場合があります(例:在外公館派遣員など)
海外に関連する営利を目的としない組織で働く際に注意した方がよいこと
最後に、海外に関連する営利を目的としない組織で働く際に、注意した方がよいことをまとめます。
日本の企業やインターンなどで経験を積んでおく
仕事によっては、関連分野での社会人経験を求められることがあります。
学生の場合、インターンとして経験を積んでおくことで、有利になる可能性があるので挑戦してみましょう。
異なる生活様式・文化や価値観を受け入れる心構えをしておく
営利を目的とせず、国際社会の問題解決のために働くという業務の性質上、赴任先は発展途上国であることも多いです。
そのため現地では、日本では想像できないような生活様式・文化や価値観に触れることになります。
現地に関する十分なリサーチ・勉強をし、それらを受け入れる準備をしておきましょう。
健康維持
例えば青年海外協力隊や赤十字の仕事などは、業務自体が(肉体的・精神的に)タフであることが多いです。
加えて衛生状況が良くない地域の場合、自身が体調を崩してしまうこともあるでしょう。
職務遂行のためにも、健康維持が欠かせません。
まとめ:営利を目的としない組織で働き世界に貢献しよう
今回は、海外に関連する営利を目的としない組織で働く方法を紹介しました。
仕事に応募するプロセスは、組織により異なりますが、まず公式のウェブサイトにアクセスするところは共通しています。
今回紹介した組織に関しては、本文中にリンクを載せています。
リンクから公式サイトにアクセスして、応募の準備を進めてくださいね。
年に数回しか職員を募集しないところもあるので、時期を逃さず、ぜひ世界に貢献する夢を叶えてください!