お話を聞いた人:
UX/UIデザイナー・フロントエンドエンジニア 高橋あゆみさん
カナダ現地の企業でインハウスのWebデザイナーとして就職後、現在はフリーランスのデザイナーとして、北米や日本の企業のWebデザイン、暗号技術系プロダクトのアート・ディレクションやブランディングを手掛ける。
Q:日本ではどんなお仕事を?
日本のWeb制作業界で、Webデザイナーとして働いていました。よく聞くお話だとは思いますが、制作業界のお仕事って夜中まで働く事が多かったですね。毎日夜遅くまで、締切に追われる生活を送っていました。
日本で3社ほど働いてきましたが、いくら転職しても、労働環境もそこまで良くならないし、お給料もあまり上がらなくて。
Q:それで海外へ行くことに?
日本のこの業界では、いくら転職を繰り返しても限界があるなと思ったんですね。個人の頑張りだけではどうにもならないなと。
そんな時に、バンクーバーでWebデザイナーをされている日本人の方のブログを見て、海外の状況を知りました。それで、ふと「海外留学しようかな」って思っちゃったんですよね。ちょっとフィールドを変えてみよう!って、ほんとに軽い感じで。
Q:どこへ留学を?
最初にフィリピンへ3ヶ月ほど語学留学に行きました。当時中学英語もままならないレベルだったので(笑)まずは英語を勉強しようと。
その後に、カナダのバンクーバーにCo-opビザで留学しました。Co-opビザは、カレッジで勉強した後に現地で仕事ができるカナダのビザなんです。
なので、私は半年間カレッジで勉強し、もう半年を現地で働く留学プログラムにしました。
Q:カレッジでは何を学んだ?
Webデベロップメントのコースを取りました。ESLのクラスもプログラムについていたので、英語もそこでさらに勉強しました。
日本ではデザインをメインに仕事をしていたので、英語でWebデベロップメントについて学ぶことで、フロントエンドの技術や知識も強化でき、同時に仕事に関わる専門用語の英語も学べました。カレッジに通ったことで、さらにスキルを伸ばせたと思います。
Q:カレッジ後の就活は?
日本での経験や制作実績を示すポートフォリオを持っていなかったので、学校に通う間に、英語でポートフォリオと履歴書などの資料を作りました。Webデザイナーの職種で、IT系や一般企業など様々な会社に応募しましたが、初めての海外での就職活動で、かなり悲惨な感じでしたね(笑)
でも、1社採用されたので、そこで半年のCo-op後にワーホリビザと会社からの就労ビザで3〜4年ほ働きました。
Q:日本との働き方の違いは?
やはり、毎日ちゃんと5時に帰れるというのは大きいですね(笑)日本で働いていた頃は、朝から夜までという状況でしたし。日本はお客様が言う事が全て!という文化なので、クライアントの締め切りは絶対で、常に締め切りに追われて休みもとりにくいですし。カナダだと「その期間はバケーション取ります」と言えば、上司も周囲も「あ、そうなの?オッケー!」(笑)みたいな感じで、休みも取りやすいです。
Q:子育て世代の同僚も多い?
日本の制作業界の仕事だと、働くとなると独身女性かまたは奥さんが全て子育てしてくれている男性しか働いてない状況でした。なので、女性は、結婚や妊娠となると続けられなくて、退職せざるを得ないんですよね。
でも、カナダの職場では、男性も女性も子育てしている人たちは、普通に働いています。育休も、男性も女性も関係なくしっかり1〜1年半ほど取って職場に戻ってきますね。
Q:フリーランスになった理由は?
ずっと運営を中心にした仕事をしていると、もっと新しい技術を学べたり、刺激があったりするクリエイティブな仕事がしたくなるんですよね。もともと、制作会社でそういう仕事をしていたので。なので、留学する時もそうでしたが、クライアントも持っていないのに、いきなりフリーランスに(笑)そこから知り合いを通して仕事が徐々に広がって、今は暗号技術系プロダクトのブランディングやアート・ディレクションなどしています。
海外へ出たい方へアドバイスを。
海外に行く事を特別な事のように考える人が多いと思うんですが、もっと気軽にふらっと日本を出てみたらいいと思います。だって、やってみないと分からないじゃないですか。失敗したっていいと思います。そこから何かを学べますし。
日本の場合、ロケット打ち上げが上手くいかなかった事は「失敗した」と報道されますけど、海外のニュースでは「成功までの過程の一つ」と報道されます。失敗は終わりじゃないですから、もっと気楽に出てみていいと思いますよ。